対象疾患について

当院ではほとんどすべての耳鼻咽喉科の手術を行っています。

手術解説

滲出性中耳炎に対する鼓膜チューブ留置術

どのような患者さんに行うか

  • 3か月以上続く中等度以上の難聴(40dB以上の難聴)のある両側滲出性中耳炎(推奨度A)
  • 3か月以上続く鼓膜に癒着などの病的変化を伴う両側あるいは片側の滲出性中耳炎(推奨度A)
  • 3か月以上続く25~29dBの難聴を伴う両側あるいは片側の滲出性中耳炎(推奨度B)
  • 3か月以上続く難聴以外の臨床症状(前庭症状、学校生活における活動性の低下、学業面での遅れ、行動面での問題、耳の違和感、QOL低下など)を伴う両側あるいは片側の滲出性中耳炎(推奨度I)

どのように行うか

小林耳鼻咽喉科内科クリニックでは患者さんの年齢を考慮し全身麻酔下に行っています。全身麻酔は麻酔科専門医により行われ、日帰りの手術です。鼓膜切開の後鼓膜チューブを挿入留置します。

どのようなチューブを選択するか


短期留置型チューブ長期留置型チューブ
留置機関の平均8~16カ月18か月~3年
選択基準1回目のチューブ留置術再発症例の再手術時・難治症例
チューブの有効性
50~80%の症例で1回の短期型留置チューブ留置
で、後遺症なく治癒する。

チューブ留置中の有害事象耳漏17% 再発性耳漏2.1% 
チューブ閉塞6.9% 処置の必要な肉芽1.8%
早期チューブ脱落3.9% 鼓室内脱落3.5%
チューブ除去の必要な耳漏4.0%(そのうち87%が長期留置型)
チューブ抜去後の変化鼓膜硬化31.7% 鼓膜萎縮24.6%
鼓膜緊張部ポケット形成3.1%
短期留置型の鼓膜永久穿孔2.2%
短期留置型の真珠腫形成0.8%
長期留置型の鼓膜永久穿孔16.6%
短期留置型の真珠腫形成1.4%
短期留置型チューブ(白色)を留置した右の鼓膜所見

短期留置型チューブ(白色)を留置した右の鼓膜所見

長期留置型チューブ(緑色)を留置した右の鼓膜所見

長期留置型チューブ(緑色)を留置した右の鼓膜所見

鼓膜換気チューブの術後管理

  • 最長で4~6か月に一度、定期的に鼓膜換気チューブの留置状態を観察し、聴力の評価を行うことを推奨する。(推奨度A)
  • チューブ脱落後には再発の有無と追加治療(チューブ再留置)の必要性についてさらなる経過観察が必要であり、チューブ脱落後1~3か月以内に経過観察する。(推奨度A)
  • 術後早期に鼓膜換気チューブの留置状態を観察し、聴力の評価を行うことを推奨する。(推奨度I)

鼓膜換気チューブはいつまで留置すべきか

  • 難治化のリスクを伴わない小児滲出性中耳炎症例では、鼓膜換気チューブの留置は通常2~3年までとし、2年以上留置されている場合には抜去について検討すべきである。(推奨度I)
  • 保存的治療に難治性の耳漏や、チューブ留置部の炎症性変化(肉芽形成)が強いときも抜去について検討すべきである。(推奨度I)

当院では小児の鼓膜チューブ留置術や鼓膜切開を全身麻酔下で行う理由

鼓膜切開術や鼓膜チューブ留置術は手技としては難しいものではなく大人の場合外来の局所麻酔下で行えるものです。しかし、小児の場合事情は大きく異なります。

小児の鼓膜切開や鼓膜チューブ留置を局所麻酔で行う問題点

  • 局所麻酔は完全なものではなくある程度の痛みは感じる。
  • 手術操作の音が気になる。
  • 目に見えない手術操作が不安感や恐怖感を与える。
  • これらから小児では動かずに落ちついて手術を受けることが困難。
  • その結果、看護士が子供を押さえつけて手術操作を行うことになり、さらなる不安感や恐怖心を生む。
  • 手術操作は顕微鏡下で行うため、手術時の体動は安全な操作の妨げになる。
  • 子供に生まれた不安感や恐怖心は手術そのものだけではなく、その後の一切の医療行為を拒否することになる。
  • いわゆるトラウマになり典型的な医者特に耳鼻科医ぎらいとなる。

医療行為は安全が第一であると同時に極力苦痛のないものであることが必要です。上に述べた局所麻酔の問題点を鑑み都院では小児の鼓膜切開や鼓膜チューブ挿入を全身麻酔下で行うことにしています。それにより安全、安心の医療が実践できるものと考えています。

慢性中耳炎に対する鼓室形成術

どのような患者さんに行うか

  • 慢性化膿性中耳炎では①耳漏の発生頻度②難聴の程度と聴力改善の可能性③合併症の有無を考慮して鼓室形成術の行うか判断する。
  • 真珠腫性中耳炎では原則として鼓室形成術のを行う。

慢性中耳炎に対する鼓室形成術

どのように行うか

小林耳鼻咽喉科内科クリニックでは全身麻酔下に手術用顕微鏡を用い鼓室形成術を行います。全身麻酔は麻酔科専門医により行われ、1泊2日の短期滞在手術です。

  • 耳の後ろを切開します(耳後部切開)。頭の毛をそる必要はありません。
  • 鼓膜穿孔の修復の材料として耳の後ろの側頭筋の筋膜を用います。
  • 外耳道骨部を削り外耳道を広げ中耳腔の観察を容易にします。
  • 炎症性変化を除去し正常に近い中耳口腔を作ります。
  • 音を伝えるための耳小骨が障害されている場合耳小骨の再建も行います。
  • 最後に鼓膜穿孔の修復を行います。

鼓膜穿孔に対する鼓膜形成術(接着法)

どのような患者さんに行うか

  • 耳漏のない(感染のない)単純な鼓膜穿孔。
  • 上記の条件が満たされれば慢性中耳炎・外傷性鼓膜穿孔・鼓膜チューブ留置後の穿孔などほとんどの鼓膜穿孔に適応になる。
  • 中耳粘膜の病変が高度な症例、耳小骨に傷害のある症例、真珠腫性中耳炎は適応にならない。これらは鼓室形成術の適応となる。
  • 鼓室形成術の一環として本法を行うこともある。

鼓膜穿孔に対する鼓膜形成術(接着法)

どのように行うか

小林耳鼻咽喉科内科クリニックでは手術用顕微鏡を用い鼓膜形成術(接着法)を行います。手術は局所麻酔でも行えますが、全身麻酔下に行う方が確実、安全に行えます。。

  • 耳の後ろを切開します(耳後部切開)。頭の毛をそる必要はありません。
  • 鼓膜穿孔の修復の材料として耳の後ろの側頭筋の筋膜を用います。
  • 鼓膜穿孔辺縁を処理します。
  • 採取した筋膜を鼓膜穿孔に生体のりで接着します。
  • これにより正常な鼓膜が再生されます。

耳硬化症に対するあぶみ骨手術

メニエール病に対する内リンパ嚢手術

アレルギー性鼻炎に対する下甲介粘膜焼灼術

どのような患者さんに行うか

  • アレルギー性鼻炎・スギ花粉症・慢性肥厚性鼻炎の患者さん。
  • 特に鼻づまりがある患者さん。

どのように行うか

  • 焼灼するためにレーザー・アルゴンプラズマ・トリクロル酢酸などが用いられます。
  • 小林耳鼻咽喉科内科クリニックではアルゴンプラズマを用いています。
  • 局所麻酔下で行う外来手術です。
  • 20分程度局所麻酔剤のガーゼを挿入し局所麻酔を行います。
  • 内視鏡下に行い、片側5分程度です。
  • 術中・術後の痛みは強いものではありません。

下甲介焼灼術の原理・効果

  • アルゴンガスを用いることによりプラズマ電流が均一の流れ、粘膜を均一に焼灼することができます。
  • 焼灼は表面の粘膜のみにおこり深くには及びません。
  • 粘膜焼灼により粘膜の変性脱落が起こり、その後再生する粘膜はほこりやスギ花粉に反応しにくいことが多い。
  • それによりアレルギー性鼻炎・スギ花粉症の症状が軽減します。
  • 粘膜下の組織の変化も起こり腫脹が軽減し鼻づまりが改善することも特徴です。
  • 粘膜焼灼による変化が長期にわたることも少なくありません。
  • スギ花粉症では何シーズンかにわたり効果が持続することもあります。

アレルギー性鼻炎に対する下甲介粘膜焼灼術

手術の手順

  • 外来の予約手術です。受付で予約をお願いたします。
  • 術前の鼻づまりの程度を確認するため鼻腔通気度検査を行います。
  •  局所麻酔剤を含んだガーゼを鼻腔に挿入し局所麻酔を行います。術中の痛みを極力軽減するために20分から30分程度行います。
  • 内視鏡下に焼灼術を行います。内視鏡で鼻内を観察しながらアルゴンプラズマ。アウリケーターで粘膜焼灼を行います(右の図)。片側に5分程度の時間を要します。手術はビデオで記録します。終了後に患者さんに供覧いたします。
  • 局所麻酔を十分に行うことで術中の痛みを極力和らげるようにします。歯を軽く食いしばると歯への痛みの広がりを軽減することができます。
  • 手術後20分程度休んでいただき、鼻出血など特に問題なければ帰宅していただきます。

帰宅後の注意

  • 手術当日の食事は特に刺激の強いものでなければ普通に食事をしていただいてかまいません。翌日以降は食事に制限はありません。当日に入浴はシャワー程度にします。その他生活に制限はありません。
  • 術後1~2日にかけて焼灼の直接的な反応が起こり、粘膜がはれ分泌が亢進します。鼻づまりと鼻漏が起こります。反応は個人差が大きく様々です。反応を抑えるために投薬しますが、症状が強ければ通院をしていただき処置します。
  • 術後の痛みはほとんど問題になることはありませんが、鎮痛剤を処方しますので痛みが強い時は服用して下さい。

術後の経過

  • 焼灼した粘膜にかさぶたが形成され、その後粘膜の再生が起こります。
  • 10日~2週間で粘膜の状態が落ち着き、アレルギー性鼻炎・スギ花粉症の症状が軽快し鼻詰まりが改善します。
  • スギ花粉症では焼灼を行ったシーズン効果が持続します。ほこりなどの通年性のアレルギー性鼻炎では鼻づまりの効果が十分ではない場合には何回か連続的に焼灼を行う方法もあります。
  • まれに鼻のまわりがはれる方がいらっしゃいます。焼灼の影響が及んだために起こるもので、程度も軽く一過性ですので心配ありません。
  • 膿の様な鼻汁が多い場合細菌感染の合併が考えられます。抗生剤の投与がさらに必要になります。

鼻閉の改善を目指す鼻中隔彎曲矯正術・下甲介切除術

どのような患者さんに行うか

  • 左右の鼻腔を境する壁である鼻中隔が強く曲がっている鼻中隔弯曲症
  • 鼻粘膜のが高度にはれた肥厚性鼻炎
  • これらの結果としては鼻づまりが高度となった患者さん。

彎曲のない正常な鼻中隔(水色の矢印)

彎曲のない正常な鼻中隔(水色の矢印)

彎曲した鼻中隔彎曲(赤の矢印)

彎曲した鼻中隔彎曲(赤の矢印)

彎曲した鼻中隔(黄色い矢印)と粘膜の肥厚した肥厚性鼻炎(米)

彎曲した鼻中隔(黄色い矢印)と粘膜の肥厚した肥厚性鼻炎(

どのように行うか

小林耳鼻咽喉科内科クリニックでは全身麻酔下で鼻中隔矯正術・下甲介切除術を行っています。短期滞在で行っていますが、日帰り手術も可能です。

鼻中隔矯正術

  • 鼻中隔彎曲の手術的治療が鼻中隔矯正術です。
  • 鼻の入り口から少し入った部分に切開を加え、そこから粘膜を剥がし曲がった骨や軟骨を切除します。
  • 外鼻に傷はできません。
  • 手術時間は極端に彎曲が強くない場合には20分~30分程度です。

鼻閉の改善を目指す鼻中隔彎曲矯正術・下甲介切除術
鼻閉の改善を目指す鼻中隔彎曲矯正術・下甲介切除術

下甲介手術

  • 肥厚した下甲介を処理する手術が下甲介の手術です。
  • 手術の方法は単純に下甲介粘膜切る方法、下甲介粘膜に切開を行い、そこから下甲介骨を切除する方法、デブリーターという特殊な器械で粘膜を削りとる方法などがあります。
  • 手術は鼻中隔矯正術と同時に行うことがほとんどであわせて20分~30分程度です。
  • 当院では下甲介骨粘膜下切除術という方法を行っています。

鼻閉の改善を目指す鼻中隔彎曲矯正術・下甲介切除術
鼻閉の改善を目指す鼻中隔彎曲矯正術・下甲介切除術

手術前後の比較

手術前後の比較
手術前後の比較

副鼻腔炎に対する副鼻腔内視鏡手術

副鼻腔炎に対する副鼻腔内視鏡手術

どのような患者さんに行うか

  • 薬物療法が効果のない慢性副鼻腔炎はすべて副鼻腔内視鏡手術の適応となる。

どのように行うか

  • 全身麻酔下に内視鏡を用いてすべての手術を行います。
  • モニターで内視鏡画像を確認しながら内視鏡手術専用の器械を用いて手術を行います。
  • すべての副鼻腔の手術を行うわけでなく病変のあり副鼻腔を選択的に処理します。すべての副鼻腔に病変がある場合すべてを処理する場合があります。
  • 病変をすべて除去するのではなく、ある程度の粘膜を除去し正常な粘膜を再生させます。
  • すべての粘膜を除去し骨壁を露出させることは正常な粘膜の再生を妨げると考えられています。
  • 外鼻や歯茎に切開を加えることはありません。
  • 手術時間は1時間前後、麻酔時間は1時間半程度です。
  • 現代の副鼻腔炎治療の中で手術の位置づけは、手術により鼻の粘膜の機能を回復させることであり、病変をすべて取り除くことではありません。そのため、術後にマクロライド系抗生剤の少量長期投与を選択することが一般的です。
  • 術後の治療が不適切な場合には再発が起こる場合があります。術後の治療が大切です。

合併症の可能性・危険性 

  • 術直後の出血:鼻腔のガーゼを入れることにより防ぎます。
  • 眼窩内合併症:内視鏡手術の器械の方向を誤ると眼の損傷起こす可能性があります。術者の経験と慎重さが求められる手術です。
  • 炎症の強い場合には出血が多く、手術操作が困難となる場合があります。その場合には手術が過度にならないように手術を終えることがあります。
  • 脳硬膜損傷:眼窩内合併症と同様に慎重な手術が要求されます。

口蓋扁桃摘出術

急性扁桃炎

急性扁桃炎

どのような患者さんに行うか

  • 1年間に4回以上の扁桃炎を繰り返す患者さん(推奨度A)
  • 扁桃肥大があり睡眠時無呼吸症候群を起こしている患者さん(推奨度A) 
  • 口臭・咽喉頭異常感のある慢性扁桃炎の患者酸さん(推奨度I)

推奨度の説明はこちら

扁桃肥大

扁桃肥大

どのように行うか

  • 開口器にて口を開き、両側の口蓋扁桃を摘出します。
  • 出血している部分は電気凝固という方法で焼いて止血します。
  • 外部の皮膚に切開を加えることはありません。
  • 扁桃摘出後の創部を縫合し手術後の出血を防ぎ、疼痛をやわらげるようにします。

手術の合併症の可能性・危険性

  • 術後のいたみ:食べ物の通り道に手術の傷ができるため、自然な痛みとともに嚥下痛があります。痛み止めをうまく使って痛みをコントロールします。
  • 術後の出血:特に手術した当日におこる可能性が高く、手術時に完全に止血をすることが起こさないために重要となります。術後出血した場合には、出血点を電気凝固して止血しなおすこともあります。
  • 味覚障害:口をあける開口器で一定時間舌を圧迫するために術後一過性に味覚障害が起こることがあります。

声帯ポリープなどに対する声帯微細手術(ラリンゴマイクロサージェリー)

声帯ポリープ

どのような患者さんに行うか

  • 声帯ポリープ
  • 声帯結節
  • 声帯結節

どのように行うか

  • 全身麻酔下に行う。
  • 口から筒状の喉頭直達鏡を挿入し声帯を明視できるようにする。
  • すべての手術操作を手術用顕微鏡を用いて行う。
  • 出血はほとんどなく、術後疼痛はない。
  • 1日入院の日帰り手術。                           声帯ポリープ
  • 術後一定期間声の安静に努める。
  • 手術当日の夕食から食事は可能

手術の合併症の可能性・危険性

  • 喉頭直達鏡挿入時に歯を痛めないように配慮することが大切で、慎重に挿入します。
  • 体型によってはかなり開口を強くします。術後に顎の関節の軽い痛みが起こることがあります。痛みが強い場合には鎮痛剤をもちいます。
  • 懸垂頭位で手術を行うために術後に肩などに筋肉痛が起こることがありますが、強いものではありません。
  • 術後の咳や痰があることがあります。咳止め・鎮咳剤を処方します。

説明書

各々をクリックすると説明書(PDF)をご覧いただけます